ホームオフィス 光を上手に利用してリモートワークの気持ちの切り替えをする
光のデザイン
1)気持ちの切り替えに光を上手に利用する
日常生活と仕事が同じ場所の場合、大事になるのは、気持ちの切り替えです。この気持ちの切り替えに一役買うのが、光です。
部屋につける照明の取り付け位置は、リフォームをしない限り、変更しにくいです。変更したい位置に照明が取り付けられる下地がなかったり、配線が露出してしまったりします。その場合は、照明器具を変えたり、スタンドライトなど置型タイプの器具を足すことで、光をうまく利用してはどうでしょうか。
例えば寝室で仕事をしている場合、同じ部屋なのでどうしても「休む」という行動と、「働く」という行動の切り替えが難しくなります。パソコンを持ち込んでしまうと、どこでも仕事ができてしまうため、ついついベッドにパソコンを持ち込んで仕事を続けてしまうことはないでしょうか?私もついついやってしまうのですが、そんなときは光を上手く使うようにしています。
方法は、シンプルです。夜眠る前に、または仕事モードから切り替えする時、照明をぐっと暗くします。特に天井からの照明は消してしまいましょう。そして、スタンドライトなど位置が低い照明のスイッチをONにします。
リゾートのホテルの部屋に入ると、なんだか暗く感じることありませんか?
それと同じ状況を再現します。ホテルは基本リラックスするためにつくられているので、照明の明るさをぐっと落としています。
ヨーロッパの古い建物を利用したホテルなどでは、天井に照明がついていない場合も多く、ソファの横にはスタンドライトが置かれていたり、ベッド横には壁付のブラケット照明が付いていたりするのが見られます。
床に置くタイプのスタンドライトや、ベッドの横のナイトテーブルにスタンドライトを置いて、その照明だけ付けてみてください。
天井の照明は消しておき、薄暗い中でしばらく過ごします。気持ちが落ち着いてくると思います。
スタンドライトの光を、壁に向けて照らすと間接照明のように、柔らかな光を楽しめます。また、天井に向けてみると、ぼんやりした明るさを楽しむことがきできます。
スタンドライトの形のおすすめは、ライトの光の向きが動かせていろいろな方向に変えることができるものです。生活のシーンに合わせて、光の向きや、当てるものを変えることができるからです。読書をするときは、本の面に向けて下向き。ヨガなどリラックスタイムを楽しむときは、天井や壁に光を当てて、間接照明として使う。値段が高い安いは関係なく、光の効果を十分に楽しめます。
2)ポイントは、照明を明るくしすぎないこと、必要なら足す。
LED照明のランプの明るさは、買ってきた最初の明るさではありません。しばらくして照明の明るさが落ちてくるので、70%落ちてくるところを基準にしています。気づかないかもしれませんが、照明を買ってきてすぐの頃から、しばらくすると最初よりは暗くなっているのです。
人の目は明るさに慣れてしまうので、本当に光が必要な場所は、照度計などを使って測ると判断しやすいです。また年齢を重ねると、必要な光の明るさも変わってきます。
明るさに対する感度が下がるからです。
その場合も天井の照明を明るいものをつけるのではなく、必要な場所に明るさを足して上げると、効率良く明るさが確保でき、省エネにもなります。
しかし日本は明るい場所が多いですし、照明を明るくしすぎる傾向があります。そして今まで明るいのが当たり前の環境に慣れ親しんでいる方だと、「部屋の照明はなるべく明るくして、暗いのはいや」というご要望を受ける事が多いです。本当に、煌々と明るい部屋で過ごすのがいいのでしょうか。
人間にはサーカリアンリズムという、約24時間を周期とするリズムをもっています。朝、太陽が登り、だんだんと明るくなる、昼間は明るい、夕方にはだんだんと日が沈み暗くなる、そういう自然環境の明るさのリズムに合わせて人々は生活をしてきました。
現代の人の生活は、日中は室内で過ごし、夜は照明がついている部屋で過ごすため、大昔の暮らしのときの明るさとはちがってきています。さらに照明が発達して、夜も明るい場所が増えてきているのため、体のリズムがずれてしまいます。
メラトニンは、眠りを誘うホルモンです。朝強い光を浴びるとメラトニンの分泌が減少し、起床後14時間~16時間すると分泌量が増えます。
ですが、夜に中程度の光を1時間あびただけで、脳のメラトニンは、昼間のレベルに下がってしまうという研究結果もあります。夜強い光を浴びることで、眠りのリズムが妨げられます。住宅でできることは、照明を明るくしすぎないこと、または調光できるようにするです。
新築の家を建てる時には、照明を後付けしようと思うと手間や費用がかかるので、新築時には照明を多めにつけておこうと思われるかもしれません。
新築マンションでは、オプションと呼ばれる照明や配線計画、造作家具、カーテン、コーティングなどを販売する会や、新築戸建ての配線・照明の打ち合わせをするインテリアコーディネーターも、限られた時間の中での打ち合わせとなるため、「暗い」というクレームが来るのを恐れて、お客様が「明るく」という要望のまま、照明を多め付ける提案します。
その人の今までの環境や年齢で、「明るい」「暗い」と感じ方が違います。ある人にとっては、明るく、ある人にとっては、暗く感じます。ご家族の中でも違いますし、照明器具が同じでも、建物の中の内装仕上げによっても、明るさの感じ方が変わります。
照明器具、特にダウンライトを多めにつける場合は、調光スイッチをつけて調整できるようにするのがオススメです。あとで、調整できるからです。
注意点としては、最近のLEDの照明では、調光できる器具や電球と、できないものとが分かれていることです。調光の必要性を感じるのであれば、調光できる機器を選んでください。
スイッチによっては、シーンを設定できるものもあります。食事のシーン、くつろぎのシーン、朝のシーンなど、それぞれに合わせた明るさ、色をあらかじめ設定しておくことで、スイッチ1つ、もしくはスマートスピーカーで声かけをすることで、そのシーンに切り替えできます。それには、またその規格に合う器具、電球、スイッチなどを選ばないといけません。余談ですが、技術はどんどん新しいものができきているので、インテリアコーディネーターは、暇があれば各企業のセミナーや新作発表会に参加しています。
また調光でなくても、器具のスイッチを1つにまとめるのではなく、複数に分けておくこで、ON・OFFできるようにする方法もあります。暗くしたければ、一部消せばいいのです。
オフィスの照明の手法で、タスクアンビエントという手法があります。オフィスも省エネの観点から、全体を明るく照らす方法から、全体の照明は、あまり明るくなく必要最低限の明かりにし、手元に明るさが必要な場合は、スタンドライトや部分を照らす照明で明るくするという方法です。スタンドライトは、価格も安価のものもあり、移動もしやすいので、家庭でも取り入れやすいですよ。
3)同じような器具でも演色性が違うことがある。
ランプの仕様を見ると、演色性能が記載されています。演色性は、自然光の光に近い色の見え方をするものを演色性が高いと言います。演色性が高い電球は、ものの色を、太陽光の下でみているような自然な色で見ることができます。
電球を選ぶときは、電球の色味(昼白色、電球色)だけでなく、演色性も気にしてみてください。時々コンビニや商店で、ピンクっぽい色の電球や、不自然な黄色味のある照明を使っているところがあり、色が不自然で気持ち悪いと思うことがあります。
同じような照明器具でも、演色性が違います。何か色を見る作業をするものや、勉強机のスタンドライトは、この演色性も比べて選んでみてください。
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